「手を染める」のに「足を洗う」?
「手を染める」と「足を洗う」の意味
「手を染める」や「足を洗う」という言葉は誰しも聞いたことがあるでしょうし、使ったこともあるでしょう。
しかし、なぜ染めるのは「手」なのに、洗うのは「足」なのかと疑問に思ったことはありませんか?
今回はその疑問を解明していこうと思います。
これは少し気になっていました。なにか理由があるんでしょうか。
手から入っていき、足へ抜けていくのかね、悪事というものは。
うん?
聞き返さんで…。ウチもよく分からず適当に言っただけなんよ…。
いや、そうじゃなくて、この二つって悪い意味の言葉なの?
そこからでしたか…。
「手を染める」の意味
ではまず、「手を染める」の意味から見ていきましょう。
「手を染める」とは
関係をもちはじめる。手をつける。
と言う意味で使われている言葉です。
…あれ?
はい、そうなんです。
もともと、「手を染める」という言葉は「悪いことを始める」という意味に限定されておらず、「物事を始める」というすべての物事に関して使える言葉でした。
また、「手を染める」の「染める」は「初める(そめる)」が語源だと言われています。
何かをはじめるとなかなか抜け出せないことと、藍染めのように一度手を染めるとなかなか色が落ちないことから「染める」になったと言われています。
また、なかなか抜け出せないことや、一度手を染めると色が落ちないことから悪いことが連想されるからか、悪いことを指す言葉として使われるようになったようです。
「初める」なんて使うかなぁ?
お食い初めとか、書き初めとかで使いますよ。
お食い初め?元旦に食べるってこと?
違います。赤ちゃんが産まれて100日目にする儀式ですよ。その子が「一生食べ物に困らないように」という願いが込められているそうですよ。
「足を洗う」の意味
では次に「足を洗う」の意味を見ていきましょう。
「足を洗う」とは
悪い仲間から離れる。好ましくない生活をやめる。職業・仕事をやめる場合にも用いる。
と言う意味で使われている言葉です。
「足を洗う」の語源は仏教です。
寺の僧は修行のために裸足で外を歩いていました。
寺に帰ってきたときに足を洗い流しますが、そのときにただ単に泥汚れを落とすという意味ではなく、俗世間の煩悩なども洗い清めていたそうです。
そのことから、「足を洗う」という言葉が、「悪いことをやめる」という意味合いになっていったようです。
しかし最近では悪いことに限らず、何か物事をやめるときにも使われることもあります。
「オタク活動から足を洗う」みたいに、悪いことでなくても使ったりするんな。
オタク活動をしているのが嫌だったその人の近くの人からは「悪いことをやめた」って思っているかもしれないけどね。
確かにー!
結局、「手を染める」と「足を洗う」の二つの言葉は何も関係がなかったんですね。
残念?
肩透かしを食った気分です。
まとめ
「手を染める」とは「関係をもちはじめる。手をつける。」という意味の言葉である。
「染める」は「初める(そめる)」が語源だと言われており、なかなか抜け出せないことや、一度手を染めると色が落ちないことから悪いことが連想されるからか、悪いことを指す言葉として使われるようになった。
また、「足を洗う」とは「悪い仲間から離れる。好ましくない生活をやめる。職業・仕事をやめる場合にも用いる。」という意味のことばである。
修行僧が寺に帰ってきたときに足を洗い流すとことで俗世間の煩悩なども洗い清めていたことから、「悪いことをやめる」という意味合いになっていった。
つまり、この二つの言葉は全く別の語源から生まれたものであり、対をなすような言葉ではない。
普通に考えて、手が汚れていたのに足を洗っても綺麗になるわけないですよね。
一度汚れた手は綺麗にならないってことだね~。
うむ、深いんな…。