やぶさかではない
2021年9月21日

やぶさかではない とは?

By 座敷あらし

「やぶさかではない」の意味

「やぶさかではない」とはどういう意味かご存じでしょうか?

「やぶさか」ではない?じゃあ、どこの坂なの?

「やぶさか」って名前の坂だとでも思ってます?

あーたむはきっと、乃木坂とかの一種だと思ってるんよ。

違うの??

最近の使われ方

最近は「仕方なくする」「気は進まないがしぶしぶする」というようなときに使われることがあります。

例えば、

「上司の頼みであれば、やぶさかではありません。」

という例文ですと、

「上司の頼みであれば、気は進まないがしぶしぶする。」

というように、「仕方ないからする」「どちらかと言えばやってもいい」というような消極的な意味として使われていることが多々あります。

ですが、これは本来の意味とは違ってきています。

本来の意味

本来「やぶさかではない」とは

~する努力を惜しまない。喜んで~する。

という意味で使われていました。

「〜ない」で終わる言葉なので否定的な意味であるように感じますがそうではありません。

「快く」というような積極的な意思を示す表現として使われている言葉です。

結局、「やぶさか」ってなに?

「やぶさかではない」の「やぶさか」は漢字で「吝か」と記します。

「吝か」とは

①思い切りの悪いさま。
②物惜しみするさま。けちなさま。

という意味の言葉です。

その他には「躊躇するさま」「未練があるさま」という意味もあります。

この「吝か」に否定形の「ない」を足すことで「〜する努力を惜しまない」「喜んで〜する」という意味になります。

本当に坂道シリーズじゃなかったんだね。

当たり前でしょ。

けど、藪坂46って言われたらありそうな字面なんな。

「やぶさかではない」の由来

やぶさかではないの「やぶさか」とは平安時代の言葉だそうです。

「物惜しみする」という意味の動詞「やふさがる」や、「ケチである」という意味の形容詞「やふさし」と同源であると言われています。

鎌倉時代の中期以降、「やふさがる」と「やふさし」は使われなくなり、「やふさ」に接尾語の「か」を付けた「やふさか」や「やっさか」という言葉が使われるようになりました。

やがて「やっさか」は使われなくなり、「やふさか」の二音節が濁音化されて「やぶさか」となりました。

「やふさがる」や「やふさし」って言いにくいんな。濁点が付いて良かったん。

誤用の定着率

平成25年度の「国語に関する世論調査」で、「協力を求められればやぶさかでない。」という例文を挙げて、「やぶさかでない」の意味を尋ねたところ、

本来の意味の「喜んでする」を選んだ人は33.8パーセント、

本来の意味ではない「仕方なくする」を選んだ人は43.7パーセントという結果が出ています。

「やぶさかではない」のあとに「けれど」や「しかし」と続くことも多いから「仕方なくする」だと思う人も多いんでしょうね。

紛らわしい言い方するから分かり辛いんだよね。もっとはっきりいえば良いのに。

ストレートに感情を伝えないのが日本人独特な言い回しなんな。

目上の人と話す時は特に慎ましくしておいた方が良いこともありますからね。

日本人って面倒くさいね~。

まとめ

「やぶさかではない」とは「~する努力を惜しまない。喜んで~する。」という意味の言葉である。

「やぶさか」は漢字で「吝か」と記し、「物惜しみするさま。けちなさま。」という意味がある。

この「吝か」に否定形の「ない」を足すことで「〜する努力を惜しまない」「喜んで〜する」という意味になる。

しかし、最近は「仕方なくする」「気は進まないがしぶしぶする」という意味で使われることがあるが誤用である。

そうそう、「やぶさかではない」と「まんざらでもない」は違う意味なので混合しないようにしてくださいね。

【満更でもない】(まんざらでもない)
まったくだめだというわけではない。必ずしも悪くはない。また、かなりよい。

え、なんか違う?

何か頼まれたときに、「まんざらでもない」だと「まぁ嫌じゃないからいいけど~」って感じで、「やぶさかではない」だと「喜んで!」って感じの違いかな?

日本人はやっぱり面倒くさいよ~。