火蓋は「切る」のか、「切って落とす」のか?
「火蓋を切る」の意味
試合や選挙など、なにか争いごとを始める前に使う言葉としても有名なこの言葉。
ニュースなどでもよく使われているので聞いたことがある人は多いでしょう。
①「選挙戦の火蓋が切られました。」
②「選挙戦の火蓋が切って落とされました。」
どちらの文章も違和感なく受け入れている人もいるかと思います。
ですが、このいずれかは間違った使い方をしていますが、どちらが正解でどちらが間違いか分かりますか?
えぇ、そんなに有名な言葉なの?聞いたことないけどなぁ~。
期待はしていないので大丈夫ですよ。
どっちが正解かって言われても、「火蓋を切る」の意味って段落のタイトルに書いてるからそれが答えでしょ?
少々お粗末なクイズでしたね。
次回「城之内死す」!
「火蓋を切る」の意味
「火蓋を切る」とは
火蓋を開いて点火の準備をする。転じて、戦いや競争を開始する。
という意味で使われている言葉です。
読み:ひぶたをきる
ということで、先ほどの答えは②の「選挙戦の火蓋が切られました。」が正解でした。
うん、知ってる~。
では、「切って落とす」とはいったいどこから来たのでしょうか?
「火蓋を切る」という言い方が「火蓋を切って落とす」「火蓋が切って落とされた」というように誤って使われるようになったのは、「幕を切って落とす」という言葉と混同したからではないかと言われています。
「幕を切って落とす」とは
【幕を切って落とす】(まくをきっておとす)
はなばなしく物事を始める。また、はじめて公開する。
という意味で使われている言葉です。
「幕を切って落とす」は歌舞伎の開演の際、舞台の幕の上部を外して一気に落とすことに由来しています。
「フタ」って言われたら「切る」より「落とす」のほうが自然な感じがしてしまうっていうのも原因の一つだと思うんな。
うんうん、なんで「フタ」を「切る」んだろうね?
「火蓋を切る」の由来
「火蓋を切る」は火縄銃に由来しています。
「火蓋」とは
①火縄銃の火皿の火口をおおうふた。
②土蔵の窓に設けた金属製の防火扉。
という意味があります。
また、「火皿」とは
①その上で火を燃やすための皿。
②キセル・パイプのタバコの葉を詰めるところ。
③こんろや暖炉・ストーブなどの、燃料をたく下に置く鉄の格子。さな。火格子。ロストル。
④火縄銃の火薬を詰めるところ。
というという意味があります。
つまり、「火蓋」は、火縄銃の火皿(火薬をつめるところ)の火口をおおう蓋のことであり、「火蓋を切る」で、火縄銃の火蓋を開いて点火の用意をする、転じて、戦いや競争を開始するという意味になります。
火蓋は分かったけど、「切る」についての説明をまだ聞いてないよ~?
「火蓋を切る」の「切る」には
際立った、または、思いきった行為・動作をする。他に先立って始める。
という意味があります。
その他にも「切る」の意味は様々なものがありますので、気になる人は調べてみてください。
うわぁ、思ったより「切る」の意味が多かったから面倒でやめたんだろうね。
意味22個は多すぎですよ。
まとめ
「火蓋を切る」とは「火蓋を開いて点火の準備をする。転じて、戦いや競争を開始する。」という意味の言葉である。
「火蓋を切る」は火縄銃に由来しており、「火蓋」とは「火縄銃の火皿の火口をおおうふた」のことである。
「火蓋を切って落とす」と使われることもあるが、これは誤用であり、「幕を切って落とす」という言葉と混合したのだと考えられる。
火縄銃っていえば、なぜか部室に火縄銃が展示されてたんよね、謎だったわ。
おもしろーい!
火縄銃がある部室って…いったい何部だったんですか?
内緒なんよ。