舌先三寸 とは?
「舌先三寸」の意味
「舌先三寸」とはどういう意味かご存じでしょうか?
読み:したさきさんずん
なんかそんな昔話あったよねぇ。
もしかして、舌切り雀のことですか?
うーん、近いんだけどちょっと足りないような…。
足りんのは一寸法師?
それだ!
「舌先三寸」の意味
「舌先三寸」とは
口先だけの巧みな弁舌。うわべだけのうまい言葉で、心や中身が備わっていないこと。
という意味の四字熟語です。
中身の伴わないような言葉で言いくるめたり、あしらったりすることを表す言葉です。
読み方は「さんすん」と間違われることもありますが、正しくは「さんずん」です。
省略して「舌三寸」とも言います。
詐欺師がまさにそんな感じなんな。
ナンパしている人も同じような感じですよね。
え、ナンパもそうなの?
そりゃね、たいていのナンパ師はうわべだけの言葉で釣ろうとしてるんな。
そ、そっか…。
「舌先三寸」の由来
「舌先三寸」の「舌先」は
①舌の先端。
②うわべばかりの物言い。弁舌。口先。「舌先ばかりで信用がおけない」
③馬具の鐙 (あぶみ) の、かかとの当たるほうの端。
という意味があります。
また「三寸」の「寸」とは昔によく使われていた長さの単位のことです。
【寸】(すん)
尺貫法における長さの単位であり、日本では約 30.303 mmである。尺の10分の1と定義される。寸の10分の1が分(ぶ)である。平安時代には「す」と書かれることもある。古代の文献では訓で「き」と呼ぶこともある。
一寸が約3.03センチメートルの長さなので、「三寸」は、約9センチメートルほどの長さです。
一寸法師って3センチメートルくらいだったんだね!小さいや~!
え、知らなかったんですか?
と、ここまでは漢字の意味について調べていきましたが、どうやらこの「三寸」を長いと捉えるか短いととらえるかで、由来が諸説あるようです。
また、故事成語が由来だとも言われているので見ていきましょう。
短い派「お釈迦様の舌説」
「寸」は短いことの例えでよく使われていることから、「三寸の舌」はとても短いことを表しています。
お釈迦様は舌は長く、髪の生え際まで届くほどの長さがあったそうです。
お釈迦様の長い舌から発せられた言葉は、心がこもって嘘がないことを表しているようです。
お釈迦様の舌と比べると舌先三寸ほどの人間の舌はとても短いです。
そのことから、「舌先三寸」は舌が短いという意味から転じて、口先だけの薄っぺらい言葉という意味になりました。
生え際まで届く舌!?
さすがに長すぎなんよ。
長い派「舌が長い人はよく喋る説」
日本人男性の平均的な舌は7.3センチメートル、女性で7.2センチメートルだそうです。
三寸は9センチメートルですから、かなり長い舌の持ち主だと言えます。
舌が長いのはお喋りだと考えられていたこともあり、長い舌の者はよく喋るという言い回しになります。
ですので、口先がうまかったり、話術で相手を丸め込んだりすると捉えられたのでしょう。
ちなみに、ギネス記録の世界で一番長い舌は、アメリカ人男性の10.1cmらしいんな。
職業はコメディアンらしいですね。
よく分かんないけど説得力がある気がする!
故事成語「史記」
司馬遷(しばせん)が編纂した「史記(しき)・平原君虞卿列伝」が出典の故事成語です。
【史記】(しき)
中国前漢の武帝の時代に、司馬遷によって編纂された中国の歴史書である。二十四史の一つで、正史の第一に数えられる。
中国の戦国時代、秦の大軍取り囲まれた趙の国は、強国の楚と連合関係を結ぶために使者の平原君を向かわせることにしました。
平原君は自ら抱えていた食客の中から有能な人材を20名を選抜しようとしましたが、残り一人となった時、毛遂という人物が自ら手を挙げました。
平原君は毛遂の能力について半信半疑でした。
ですが、楚王との交渉で毛遂は、「この交渉は楚のためのものだ」などと巧みな弁舌を振るい同盟を成功させました。
その後、楚から援軍が派遣されたため趙は滅亡を免れ、平原君は「毛遂先生の舌先三寸は百万の軍勢に勝っている」と言ったといいます。
え、正解これでしょ?
舌が短い長いって何だったの?
まぁ、正解は分かりませんけどね。
口先三寸
口先三寸という言葉を聞いたことがある人もいるでしょうが、この言葉は実際には存在しません。
平成23年度に「国語に関する世論調査」で、「本心でない上辺だけの巧みな言葉」のどちらを使うか尋ねたところ、
本来の言葉である「舌先三寸」を選んだ人は23.3パーセント、
本来の言葉ではない「口先三寸」を選んだ人は56.7パーセント、
という結果が出ています。
「舌先三寸」は「心がこもらず、口先だけである」というような説明されることが多いので、「舌先」を「口先」と混同してしまうのかもしれません。
よく間違える言葉ですので注意しましょう。
口先でも舌先でも、どちらでもいいけどね~。
どっちでも良くないですよ!
まとめ
「舌先三寸」とは「口先だけの巧みな弁舌。うわべだけのうまい言葉で、心や中身が備わっていないこと。」という意味の四字熟語である。
由来は諸説あり、「史記」出典の故事成語という説や、三寸を長いと捉えるか短いと捉えるかで多々ある。
口先三寸と間違えることが多いので注意が必要である。
そういえば、ナンパは舌先三寸だって言ったとき何で微妙な感じだったん?
この間、「君みたいに可愛い人に会ったの初めてだ」って言われて嬉しかったんだけど、舌先三寸だったのかなぁと思ってね。
当たり前でしょう。もしかして、連絡先渡したんですか?
ううん!全く好みじゃなかったし!
喜んでたわりに辛辣なんな。