一衣帯水 とは?
「一衣帯水」の意味
「一衣帯水」とはどういう意味かご存じでしょうか?
読み:いちいたいすい
なんて言った?一位…体操…?オリンピックのこと?
違います。意味以前に、もしかしてこの言葉自体知らないですか?
そっそんなことないよ~知ってるよ~ねぇ?
毎度のことながら、ごまかし方が下手すぎなんな。
意味
「一衣帯水」とは
一筋の帯のように、細く長い川や海峡。転じて、両者の間に一筋の細い川ほどの狭い隔たりがあるだけで、きわめて近接しているたとえ。
という意味の故事成語です。
両者の物理的距離が近く、両者の関係が極めて深いということです。
「一」は「ひとつ」という意味で、「衣帯」とは「衣服の帯」、「水」は今回は「川や海など」を指した言葉です。
「一衣」と「帯水」に分かれた言葉だと思ってたん!
3つに分かれた言葉だったんですね。
意味聞いても、やっぱりこんな言葉知らないなぁ~。
由来
「一衣帯水」は中国の『南史・陳後主紀(ちんこうしゅき)』に由来しています。
【南史】(なんし)
中国の南朝について書かれた歴史書。李大師により編纂が開始され、その子の李延寿によって完成された。二十四史の一つ。
全80巻で、本紀10巻・列伝70巻の構成となっている。
南北朝時代(439年 – 589年)の南朝にあたる国家、宋・斉・梁・陳の歴史を記している。
『南史・陳後主紀(ちんこうしゅき)』の中に「我為百姓父母、豈可限一衣帯水、不拯之乎(我、百姓の父母たるに、あに一衣帯水を限り、これを拯(すく)わざるべけんや)」という一文が出てきます。
「君主の跡継ぎの者は淫らで残酷である。私は人民の父母である。陳と一本の帯のような細い川に隔てられているからといって、彼らを救わずにいることがどうして出来ようか。」という意味になります。
難しすぎてよく分かんないよ~。もっと分かりやすく説明してよ。
陳の君主は悪政に加え贅沢三昧にふけており、陳の民衆は飢え苦しんでいました。
それを知った北朝の隋の皇帝は、「川一本隔てた先で苦しめられている南朝の民衆を見過ごすことはできない」と挙兵し、南朝を滅ぼして中国を統一しました。
なるほど!陳っていう人が悪者で、隋っていう人が川の向こうにいる人が可哀相に思って、陳を討伐したってことだね!
そういうことですね。まぁ、ここでいう川とは長江(揚子江)のことで、場所によっては川幅は40キロにもおよぶため近いとは言いにくい気もしますけれど。
【長江】(ちょうこう)
青海省のチベット高原を水源地域とし、中国大陸の華中地域を流れ東シナ海へと注ぐ川。全長は6300kmで、中華人民共和国およびアジアで最長、世界でも第3位の大河である。
中国国外では、最下流部の異称である「揚子江」(ようすこう、英語: Yangtze River)の名で良く知られる。
40キロ!?それはもう川じゃないんな!
ちなみに、日本の川で一番川幅が広いのは荒川で、2.5キロですよ。
なんじゃそりゃー!日本せまっ!
類語
「一衣帯水」に似た言葉をいくつか見ていきましょう。
「衣帯一江」(いたいいっこう)
非常に親しい関係のこと。
「衣帯之水」(いたいのみず)
極めて近い関係のこと。
「一牛鳴地」(いちぎゅうめいち)
一頭の牛の鳴く声が聞こえる土地の意から、非常に近い距離のたとえ。また、のどかな田園風景の表現。
牛の鳴く声が聞こえるとのどかなイメージだよね。
搾りたてミルクで作ったソフトクリームが食べたくなるんな。
まとめ
「一衣帯水」とは「一筋の帯のように、細く長い川や海峡。転じて、両者の間に一筋の細い川ほどの狭い隔たりがあるだけで、きわめて近接しているたとえ。」という意味の故事成語である。
『南史・陳後主紀(ちんこうしゅき)』の「我為百姓父母、豈可限一衣帯水、不拯之乎」に由来している。
世界で一番川幅が広いのが長江なの?
いえ、アルゼンチンとウルグアイの間を流れる「ラプラタ川」だと言われていますよ。275キロあるそうです。
初めて聞いた!広いん!けど、一番はアマゾン川かと思ってたん。
アマゾン川の川幅は最大で300km~500kmらしいですよ。
ラプラタとやらより大きいじゃん!
アマゾン川の河口部は水の流れている部分と砂州とが複雑に入り組んでいて、どこからどこまでを河口と考えるかについての定説がないので、結果的にラプラタ川の方が世界一に認定されているようですよ。
なんじゃそりゃ。