なし崩し とは?
「なし崩し」の意味
「なし崩し」とはどういう意味かご存知でしょうか?
また「なし」だね!また梨かな!
よほど「なし」が頭から離れなかったんでしょうね。
「なし崩し」かぁ~、なんかそんなゲームなかったっけ?
山崩しな。ブロック崩しとかもあるらしいんな。
へぇ~!なし崩しよりそっちがいいな!
最近の使われ方
「デートに行く約束をしていたのに、なし崩しにされてしまった。」
というように、「なかったことにする」「うやむやにする」「あいまいにする」という意味合いのマイナスイメージで使う人も多いと思います。
ですが、これは本来の使い方とは違っているのです。
「なぁなぁに終わらす」みたいなイメージだったんだけど違うんか。
こういう意味合いで使っている人が多いように感じますけれどね。
ところで、この例文の人って…。
とある男性の心情です。
本来の意味
本来「なし崩し」とは
①物事を少しずつかたづけていくこと。
②借金を少しずつ返すこと。
という意味があります。
「なし崩し」はもともと「済し崩し」と書いていました。
そして、「済し」とは「済す」のことです。
「済す」とは
①借りた金品を返す。返済する。
②義務を果たす。果たす。税などを完納する。
という意味があります。
また、「崩す」とは
①まとまった形の物をこわして、その形を変えたり、原形をなくしたりする。
②整った形や状態を乱す。安定した状態を乱し、悪くする。
③顔をほころばす。
④字画を省略する。行書や草書で書く。
⑤同額の小銭にかえる。両替する。
⑥値段を負ける。値引きする。
⑦効果をなくす。だめにする。
という数多くの意味がありますが、今回は①の意味に当たります。
「借金を少しずつ壊して返す」つまり、「借金を少しずつ返済する」ということが元の意味合いでした。
そこから、借金だけではなく、他の事柄にも使うようになっていき、「物事を少しずつかたづけていくこと」という意味合いでも使われるようになりました。
最初は「借金を少しずつ返すこと」って意味だったってなんか面白いんな。借金を返すことに専用の言葉があるなんて!
そうですね、「済し」と「借金返済」の「済」の字が同じとはいえ、そんな意味だとは分かりませんでした。
今回は梨じゃないのか~。
誤用の定着率
平成29年度に文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「借金をなし崩しにする。」という例文を挙げ「なし崩し」の意味を尋ねたところ、
本来の意味の「少しずつ返していくこと」で使う人は19.5パーセント、
本来の意味ではない「なかったことにすること」で使う人は65.6パーセント、
という結果が出ています。
20代と70歳以上の人たちはほかの年代に比べると、少しだけ本来の意味で使っている人が多かったようです。
70歳以上の人たちはそうだろうけど、20代もなんて意外!学生時代に近いからかな?
10代はほかの年代と同じく、本来の意味ではないものを選んでいる人が多いですけれどね。
じゃあ、たまたまか。
なぜ誤用されることが多いのか
では、なぜ誤用されることが多いのか、考えてみましょう。
おそらく、「なし崩し」の「なし」を「無し」と捉えてしまった人が多かったからではないでしょうか。
「無し崩し」つまり「何もないように崩す」といった意味から、「なかったことにする」という意味だと思ってしまうのかもしれません。
もしくは、「済ます」という字にあるかもしれません。
「済ます」とは
①なすべき物事を全部してしまう。
②借りた金などをすっかり返す。返済する。
③代わりのもので問題が解決したことにする。その場はそれでよいことにする。間に合わせる。
④すっかり、そのものになる。うまく、しおおせる。
という意味があるので、「してしまう」から「終わらせる」という意味になり、「なかったことにする」という意味だと思い使う人が増えたのかもしれません。
なるほど~!
勝手な予想ですけれどね。
まとめ
「なし崩し」の本来の意味は「借金を少しずつ返すこと。物事を少しずつかたづけていくこと。」である。
しかし最近は、「なかったことにする」というマイナスイメージで使う人も多い言葉である。
「なし崩し」って「なし崩し的に~する」って感じで使ってたりするね。
そうですね。「なし崩し的に付き合えたらいいのに」とか言いますね。
付き合えませんでしたけど。
それやっぱりおにぃのことか!