忸怩たる思いとは?
「忸怩たる思い」の意味
「忸怩たる思い」とはどういう意味かご存知でしょうか?
えぇ?読み方すら分からないよ~。
読み:じくじたるおもい
お偉いさんがよく使ってるんな。
そうですね、この間も会見で使われてましたね。
じくじ…?これでじくじって読むの?初めて知ったよ~。
最近の使われ方
「同僚に出世したことを自慢されて、忸怩たる思いに駆られた。」
という例文があります。
この場合、同僚に出世したことを自慢されて「くやしい、腹立たしい」と思うかもしれませんし、「うじうじした気持ちになった」と思うかもしれませんが、そのどちらも間違っているのです。
出世を自慢してくる同僚って嫌すぎるんな。
その会社の人間関係嫌だな~。
例文の内容はどうでもいいです!意味について話したいんですけど良いです?
本来の意味
本来、「忸怩たる思い」とは
自ら恥じ入る気持ちに駆られること。またはそのような感情。
という意味で使われている言葉です。
「忸怩」とは
深く恥じ入ること。深く恥じ入るさま。
という意味であり、「忸」とは
①はじる。はずかしく思う。
②なれる。ならす。
という意味で、「怩」とは
はじる。はじらう。
という意味の言葉です。
今回の「忸」は①の「はじる。はずかしく思う。」という意味で使われています。
「忸」「怩」どちらも「恥じる」という意味ですので、この二つの漢字を合わせることで「とても恥じている」と強調していることになります。
また、先ほどの例文は、「同僚に出世したことを自慢されて、自ら恥じ入る気持ちに駆られた」という意味になります。
同僚に先越されたことにイライラするのではなく、「自分の不甲斐なさに恥ずかしく思っている」というような意味だといえます。
「自分の不甲斐なさに恥ずかしく思っている…」って何それ?人間の鏡なん?
すぐ自慢する浅はかな人よりも将来的に出世しそうな人ですよね。
所詮、うちは浅はかな人間よ…ふっ。
ふむふむ。
「1恥じ」と「1恥じ」を足したら「2恥じ」になるってことか!分かりやすくて面白ーい!
…あーたむでも分かる算数の問題でしたね。
使い方
え、さっき例題あったからいいじゃん?
それでは使い方を見てみましょう。
「忸怩たる思い」の言い回しとしては、
・忸怩たる思い です、だ、でございます
・忸怩たる思いを抱く
・忸怩たる思いがある
・忸怩たる思いに駆られる
などがあります。
「同僚に出世したことを自慢され、忸怩たる思いに駆られた。」
「同僚に出世したことを自慢され、忸怩たる思いを抱いた。」
「同僚に出世したことを自慢され、忸怩たる思いがあった。」
「同僚に出世したことを自慢され、忸怩たる思いです。」
という使い方になります。
また、「思い」を付けずに「忸怩たる」だけで、
「同僚に出世したことを自慢されて、忸怩たるものがあった。」
と使うこともあります。
色々な使い方がありますが、「忸怩たる思い」は未来についての話には使いません。
「自分のしてしまった言動に対して恥じ入る気持ちに駆られる」という意味で使います。
これから起こることを恥ずかしがっているときには使わないってことですね。
「やっちゃった~!恥ずかしい~!」ってことね!
「後悔先に立たず」なんな。
類語
「忸怩たる思い」に似た意味の言葉はたくさんありますので、その中から少しご紹介します。
「自責の念に駆られる」(じせきのねんにかられる)
自分で自分の過ちをとがめること。また、自分に責任があると考えること。
「慙愧に堪えない」(ざんきにたえない)
自分の行いについて、残念に思い、反省すること。恥ずかしく思うこと。
「痛恨の極み」(つうこんのきわみ)
これ以上ない程に残念である、非常に悔やまれること。
まとめ
「忸怩たる思い」の本来の意味は「自ら恥じ入る気持ちに駆られること。またはそのような感情。」である。
しかし最近は「くやしい、腹立たしい気持ち」や、「うじうじした気持ち」といった誤用をされることもある。
なんだかねぇ、やっちゃたことは仕方ないんだから、そんなに恥じなくてもいいのにね。
あーたむはもう少し恥じらいがあってもいいと思いますけれどね。
あーたむは恥の多い生涯を送ってきました、って感じかな?