さわり とは?
「さわり」の意味
「さわり」とはどういう意味かご存知でしょうか?
漢字にすると「触り」と書きます。
さわり??
急にそれだけ言われても分かりませんよね。
うむ、せめて文章にしてから聞いてほしいんな。
最近の使われ方
「彼から話のさわりだけ聞いた。」
のように、「曲のさわり」、「小説のさわり」など「〇〇のさわり」と使うことが多い、この「さわり」。
この言葉は、「話の最初の部分のこと」と使う人が多いです。
したがってこの例文は、
「彼から話の最初の部分だけ聞いた。」
という意味で使う人が多いですが、これは本来の使い方ではないのです。
えー!?「最初の部分のこと」って意味で使うじゃんねぇ~。
はい、残念。誤用ですね。
それより、この「さわり」って漢字で書いたら「触り」なことにびっくりしたんよ。なんでだろう?
本来の意味
本来「さわり」とは
①さわること。また、触れた感じ。感触。多く他の語と複合して「ざわり」の発音で用いられる。
②人に接したときの感じ。人あたり。
③義太夫節で、義太夫節以外の他流の曲節を取り入れた部分。
④ 義太夫節の一曲の中で、一番の聞きどころとされる箇所。
⑤《④から転じて》広く芸能で、中心となる見どころ・聞きどころ。また、話や文章などで最も感動的、印象的な部分。
⑥三味線の音響装置。また、それによって出る音。
という意味があります。
「彼から話のさわりだけ聞いた。」という文章だと、この中の⑤番の意味に当たります。
「さわり」とは、江戸時代に竹本義太夫が創始した浄瑠璃の流派の一つであり、義太夫節で用いられていた言葉です。
元々、義太夫節の「聞かせどころ」「聞きどころ」に当たる言葉として使われてきました。
それが浸透していき、浄瑠璃だけではなく、一般的な音楽や物語、話などにも使われるようになっていきました。
そのことから、「彼から話のさわりだけ聞いた。」という文章ですと、「話の最も重要な点や感動的で印象深いところだけを聞いた」という意味になるのです。
もともとは浄瑠璃用語だったんですね。「要点」と言われるより、「聞かせどころ」って言われている感じがいいですよね。
そう?意味としては一緒じゃん。
あーたむに感性は求めてないから大丈夫なん。
誤用の定着率
平成15、19、28年度に「国語に関する世論調査」で、「話のさわりだけ聞かせる。」という例文を挙げて「さわり」の意味を尋ねたところ、
本来の意味の「話などの要点のこと」で使う人は
平成15年度が31.1パーセント 平成19年度が35.1パーセント 平成28年度が36.1パーセント
本来の意味ではない「話などの最初の部分のこと」で使う人は
平成15年度が59.3パーセント 平成19年度が55.0パーセント 平成28年度が53.3パーセント
という結果が出ています。
半数以上が本来の意味ではない方で答えているんな。
けど年々、本来の意味で答える人が増えて、本来の意味ではない意味で答えている人が少なくなってきてるね。いつか逆転するのかな?
どうでしょうねぇ?
なぜ誤用されることが多いのか
なぜ誤用されるのでしょうか。
それは、二つの憶測があります。
一つは、「さわりだけ」というように、ある部分だけを限定するような文章で使われることが多いことです。
そしてもう一つは、「さわる」という言葉のイメージで、さっと軽く触れるような意味に捉えられやすいことです。
この二つが合わさって、より、「話などの最初の部分のこと」だと思う人が増えるのかもしれません。
なるほどな~。「さわる」って言われて要点くらい深いところまでさわっているなんて思わんのな。
いつか誤用ではなくなる日も来るんでしょうね。
まとめ
「さわり」の本来の意味は「見どころ・聞きどころ。話や文章などで最も感動的、印象的な部分。要点。」である。
しかし最近は「話などの最初の部分のこと」という意味で使われることも多い。
それにしても、今まで「話などの最初の部分のこと」って意味で使ってたから間違えちゃいそうだな~。
半数以上の人が間違えていますから、間違えて使ってる人は多そうですけれどね。
いっそのこと、みんな「さわり」って使うのやめたらいいんよ。大半が格好つけて言ってるだけだろうし。