憮然とは?
「憮然」の意味
「憮然」とはどういう意味かご存知でしょうか?
読み:ぶぜん
びぜん?びぜん岡山の「びぜん」ってこんな漢字だったっけ?
びぜんは備前です!これは「ぶぜん」ですよ。
毎回のボケ、お疲れ様なんな。
最近の使われ方
最近は「腹を立てている様子」という意味合いでよく使われています。
「彼は上司から強く批判されて憮然とした面持ちになった。」
という例文がありますが、
「彼は上司から強く批判されて腹を立てた表情になった。」
という意味だと思う方も多いかもしれませんが、これは本来の意味とは違っているのです。
最近「面持ち」とか使う人いないよね~。
最近の使われ方の内容とかじゃなくて、そこに突っ込むんな…。
まぁ、普通に話す時にはあまり使わないですけど、よく聞きますけどね。
本来の意味
本来「憮然」とは
失望・落胆してどうすることもできないでいるさま。また、意外なことに驚きあきれているさま。
という意味で使われています。
悲しいことやショックなことが起きた後、ぼんやりしてしまっている状態を言い表すときに使用します。
憮然の「憮」とは
がっかりする、いつくしむ
という意味があり、音読みでは「ぶ」「む」「こ」「く」と読み、訓読みでは「いつく(しむ)」と読む漢字です。
「憮」の左側にあるのは「りっしんべん」で、心の働きなどに関する漢字であることを表しています。
そして右側にあるのが「無」であることから、今回は「心がない」ということを表しています。
また「然」とは
名詞に付いて、そのもののようなようすであるということを表す。
という意味の接尾語です。
つまり、「憮然」とは「心がないような様子であること」という意味になります。
ここでいう「心がない」とは「思いやりがない」という意味でなく「心にポッカリ穴があいてしまう」という、「心の喪失感」のようなものを表しているのでしょう。
なるほど、漢字の成り立ちで意味が分かるんな!
こうやって考えると、意味を知らない言葉でも予想が付きやすいですね。
あの左側にあるのって「りっしんべん」って言うんだね!初めて知ったよ~。
誤用の定着率
平成15、19、30年度に「国語に関する世論調査」で、「憮然として立ち去った。」という例文を挙げて「憮然」の意味を尋ねたところ、
本来の意味の「失望してぼんやりとしている様子」で使う人は平成15年度が16.1パーセント、平成19年度が17.1パーセント、平成30年度が28.1パーセント、
本来の意味ではない「腹を立てている様子」で使う人は平成15年度が69.4パーセント、平成19年度が70.8パーセント、平成30年度が56.7パーセントという結果が出ています。
「憮然として立ち去った。」って、ぼんやりしているようには感じないなぁ~。
それだけ「腹を立てている様子」という意味で定着しているってことでしょうね。
なぜ誤用されることが多いのか
「憮然」の「ぶ」という音にあるかもしれません。
「ぶ」から始まる言葉には、小言を言うことや不満を表す「ぶつくさ言う」「ぶうぶう言う」や、不機嫌さを表す「仏頂面」「ぶすっと」など「腹を立てている様子」に繋がりそうな言葉が多いのです。
また、「ぼんやりとしている様子」としては「憮然」よりも「呆然」などを使うことが多いので、「憮然」という言葉が「ぼんやりとしている様子」という意味だと繋がりにくいことが原因かもしれません。
また、文章によっては「腹を立てている様子」と「ぼんやりとしている様子」、どちらでも読み取れることがある、ということも大きいかもしれません。
「彼は上司から強く批判されて憮然とした面持ちになった。」
という、始めに紹介した例文ですが、上司に怒られると、落ち込んで呆然とする人もいるでしょうし、腹を立てる人もいるでしょう。
「憮然」の意味を知っていなければ、この例文を読んだだけでは「彼」の気持ちは分からないのです。
おぉ、不満を表す「ぶ」から始まる言葉って結構多いんな!
「ぶつくさ」ってどうして「ぶつくさ」って言うんだろうね?
そんなロミオみたいに聞かれても知りませんよ。
調べてみてください。
まとめ
「憮然」の本来の意味は「失望・落胆してどうすることもできないでいるさま。また、意外なことに驚きあきれているさま。」である。
しかし最近は「腹を立てている様子」という意味で使われることも多い。
「ぶ」から始まる言葉は不満を表すものが多いことと、意味を知らなければ「腹を立てている様子」という意味でも通じることがある、ということも多いからかもしれない。
どちらとでもとれる時に「憮然」って使われたら少々面倒ですよね。
怒ってんの?ぼうぜんとしてんの?どっち?とか聞きにくいね~。
面倒だし、適当にオウム返ししとけばいいと思うんな。