檄を飛ばす
2021年1月8日

檄を飛ばすとは?

By 座敷あらし

「檄を飛ばす」の意味

「檄を飛ばす」とはどういう意味かご存知でしょうか?

読み:げきをとばす

え、なんか唾飛ばしてるような感じ?

それくらい激しく喋ってるってこと?

ううん、ペッて吐いてるイメージかな。

え・・・。

最近の使われ方

最近は「激励する」「元気づける」「怒りながら注意する」という意味で使われているのをよく耳にしますね。

「試合中、監督が選手たちに活を入れるために檄を飛ばした」

という例文がありますが、これは本来の意味とは違った使い方をしているのです。

「檄を飛ばす」ってまさにそういうシーンに使うのかと思ってたん。

私はそもそも知らないけどね!

知らないのに唾がどうのとか言ってたんですか…!?

本来の意味

本来「檄を飛ばす」とは

自分の主張や考えを広く人々に知らせ同意を求める。また、それによって人々に決起を促す。

という意味で使われています。

そもそも「檄」とは

①古代中国で、召集または説諭の文書。木札を用いたという。めしぶみ。さとしぶみ。
② 自分の考えや主張を述べて大衆に行動を促す文書。檄文。ふれぶみ。

という意味で、「檄文」という文書のことを指しています。

招集や説諭(せつゆ)、つまり、人を招き集めたり、悪い行いを改めるよう言い聞かせることのための文書であり、古代中国では実際に木札に書かれていたといいます。

そのことから、「檄を飛ばす」ということは、「文書を使って、自分の主張を伝えて同意を求めたり、人々を集めたりする」ということを指してます。

喋らないゆるキャラがセリフのプラカード持ってるけど、あれも「檄文」なのかな?

どうだろう、分からんのな。

誤用の定着率

平成15、19、29年度に「国語に関する世論調査」で、「檄を飛ばす」の意味を尋ねたところ、

本来の意味の「自分の主張や考えを,広く人々に知らせて同意を求めること」で使う人は平成15年度が14.6パーセント、平成19年度が19.3パーセント、平成29年度が22.1パーセント、

本来の意味ではない「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」で使う人は平成15年度が74.1パーセント、平成19年度が72.9パーセント、平成29年度が67.4パーセントという結果が出ています。

誤用は年々減少していますけれど、それでもかなり高い数値ですね。

こんだけの人が間違えてるなら間違えて使ってても仕方ないんな。

なぜ誤用されることが多いのか

「叱咤激励」という言葉の「激」と「檄」の音が同じことと、見た目も似ていることから、間違えた意味で定着したのではないかと考えられます。

ちなみに「叱咤激励」とは

大声で励まして、奮い立たせること。
「叱咤」は大声で励ますこと。また、大声でしかること。「激励」は励まし、元気づけること。

という意味です。

「檄を飛ばす」の「檄」は木へんの「檄」です。

「叱咤激励」の「激」はさんずいの「激」です。

見た目とても似ていますが、意味が全く異なる語です。

「檄」は木札を用いたということから木へんになったのではないかと思いますので、知らなかった方はこの機会に覚えましょう。

え!?同じ漢字だと思ってたん!びっくり!

うん、そうだよね~!

いや、何で知ってる風なんですか、あーたむはそもそも言葉すら知らなかったでしょう?

まとめ

「檄を飛ばす」の本来の意味は

「自分の主張や考えを広く人々に知らせ同意を求める、また、それによって人々に決起を促す。」である。

しかし最近は「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」という意味で使われていることが多い。

本来の意味だと「檄を飛ばす」って言葉を使う機会なんて無いよね~。

多分一生使うことはないんな。

もう少し誤用が定着したら、「元気づける」という意味で使うのが普通な時代になるかもしれませんけどね。