蛇足
2020年12月3日

蛇足とは?

By 座敷あらし

「蛇足」の意味

「蛇足」とはどういう意味かご存知でしょうか?

読み:「だそく」

この間見たね!

「画竜点睛」の対義語で出てきたん!

で、意味は?

・・・ん?

意味

「蛇足」とは

付け加える必要のないもの、余分なもの

という意味の故事成語です。

不必要な物事など、余分な物や邪魔な物が「蛇足」となりますが、他にも謙遜やへりくだって言うときや、手紙や文章でも使う場合が多いです。「蛇足ながら~」と一言付け足すだけで、おせっかい的な余計な事や話題が変わっても、丸く収まる便利さがあります。

「蛇足ながら~」と付け足すだけで、余計な事を言っても丸く収まるので便利ですよ。

「良い意味で」って言えば何でもオッケーなことと一緒だね!

良い意味でって言えばなんでも許される訳じゃないんよ。

由来

「蛇足」は中国・戦国時代の「戦国策」斉策に記載されている故事成語に由来しています。

【戦国策】(せんごくさく)
前漢の劉向(りゅうきょう)が編纂した、戦国時代の遊説の士の言説、国策、献策、その他の逸話を国別に分類し、まとめ上げた書物。全33篇。「戦国時代」という語はこの書に由来する。

故事

昔、中国・楚の人が先祖を祭る行事をして、召使いたちに酒をふるまいました。

しかし、その酒はみんなで飲むには足りない量しか無かったので、召使いたちは相談し、地面に蛇の絵を描いて、一番先にできた者が酒を飲む事に決まり、みんなで絵を描き始めました。

一人がすばやく描き終え、その酒に手を伸ばそうとしましたが、周りを見るとみなまだ描き終えていません。

「みんな遅いな。私はまだ足を描き足す余裕がある。」

と言って左手に酒をつかみ、右手で蛇の絵に足を描き出したが、それを描き終わらないうちにもう一人が蛇を描き上げ、酒を奪い取り、

「蛇に足はない。足のある蛇なんて蛇じゃない。蛇を最初に描いたのは私だ。」

そう言ってその酒をごくごくと飲みほしてしまいました。

なるほど!それで蛇の足と書いて「蛇足」なんだね!

それにしても、蛇じゃなくて竜の絵の勝負だったら良かったのにね。形似てるし、足はあっても無くてもどっちでもいいし。

まぁ、竜を見たことある人なんていないでしょうしね。

故事(続き)

楚の昭陽将軍は魏に侵攻して勝利し、さらに斉へ侵攻しようとしていました。

縦横家の陳軫(ちんしん)は、斉の君主から

「楚の昭陽将軍を、止めるよう説得することは出来ないか。」

との依頼を受け昭陽将軍に会いに行きました。

ここで陳軫は昭陽将軍に「蛇足」の話をします。

「魏への侵攻に勝利した時点で昭陽将軍は最高の位まで出世することが見込まれていて、斉への侵攻に成功してもそれ以上は出世しようが無い。もし失敗したら今の地位を失いかねないのに、そんな危険を犯す必要があるのか。」

と蛇足の話を用いて説得しました。

この話を聞き昭陽将軍は斉の国への侵攻を中止しました。

陳軫かっこいいね!
ところで「縦横家」って何?

「縦横家」

中国古代の思想家たちで、諸子百家の一つ。外交の策士として各国の間を行き来した人たちのこと。

『巧みな弁舌と奇抜な発想で諸侯を説き伏せ、あわよくば自らが高い地位に昇ろうとする、そのような行為を弁舌によって行う者が縦横家』だそうですよ。

かっこいいイメージだったのに…あれれ?

使い方

では実際に使ってみましょう。

会議の最後に蛇足ですが、一言だけ述べさせてください。

なんじゃ?

このプロジェクトを成功させるためには予算が足りません。

それは蛇足じゃないんじゃー!先に言ってくれんかのぅ…。

会議続行ですね、お茶入れ直してきまーす!

まとめ

「蛇足」とは

「付け加える必要のないもの、余分なもの」という意味の故事成語である。

「蛇足ながら~」と一言付け足すだけで、おせっかいや余計な事を言っても丸く収まる便利な言葉でもある。

それにしても、なんで蛇の絵を描いてるときに足まで書いちゃったんだろうね。

自分の速さをひけらかしたかったのだとしても、普通は蛇に足を描こうなんて思いもしないですよね。

もう酔っぱらってたんじゃね?